イベントレポート

【開催レポート】共創スタートアップセミナー「横浜の共創―その軌跡、そして未来への展望-」

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9月9日(水)、共創スタートアップセミナー「横浜の共創―その軌跡、そして未来への展望-」を開催しました。

本セミナーは、事業構想大学院大学事業構想研究所教授の河村昌美氏を講師にお迎えし、横浜の共創の歴史を振り返りながら、企業・市民活動団体・NPO・大学・行政など、横浜の多様な協働や共創に取り組む方々が共通言語として持っておきたい「共創」の定義と本質を再確認し、参加者同士が感想を共有し、これからの横浜の共創について考えていただくことを目的として開催しました。

開催概要
【日時】2026年9月9日(水)14:30~16:30
【場所】市民協働推進センター スペースAB
【講師】事業構想大学院大学 事業構想研究所 教授 河村 昌美 氏
【プログラム】
  ・講義
  ・グループトーク

当日は、NPO法人、市民活動団体、企業、個人、行政職員など、さまざまな立場の方々にご参加いただきました。まず、河村講師による講義がありました。

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事業構想大学院大学事業構想研究所教授
河村昌美氏
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会場の様子

なぜ今、共創なのか? 共創とは何なのか?

はじめに、時代認識が変わってきたことが指摘されました。1980年代にはVUCA(Volatility変動性、Uncertainty不確実性、Complexity複雑性、Ambiguity曖昧性)の時代と言われていましたが、2020年代(ポストコロナ)の現代は、BANI(Brittle脆弱性、Anxious不安、Nonlinear非線形、Incomprehensible不可解)の時代なので、お金をかけずに、今ある資源をどう活用するかが重要とのことです。行政だけでは社会課題が解決できないのは、縦割り、課題のスピード感と組織のスピード感の不一致、必要な知恵・技術・現場感覚を持ちにくいためで、「対等な対話を通じた価値創造=共創」が大切と強調されました。

「共創」の前提として、経験を共有することで全ての関係者が相手側で起こっていることを深く理解し、双方にとってより良い新しい経験を考え出すことができる、という考え方が重要です。

横浜における共創の軌跡

横浜市では、2008年に共創推進事業本部を設置し、「共創推進の指針」を策定しました。この指針では、「質の高い公共サービスの提供」「新たなビジネスチャンスの創出」「横浜らしい価値の創出」の3つを共創の目的として位置付けています。

そして共創を進めるため、4つの装置(「共創フロント」「共創フォーラム」「サウンディング調査」「PFI・PPP/指定管理者/PFS(SIB)」)を仕組み化してきました。これらは他都市にも波及しているそうです。

なぜ横浜市で共創が進化してきたかというと、1965年ごろから「市民参加」が重視され、市民協働、公民共創が進展し、現在は協働・共創の統合が図られているという半世紀に及ぶ歴史があるからとのことです。

横浜の共創事例と超えてきた壁

続いて、河村講師が携わった共創の事例が紹介されました。大企業との共創においては、市役所が税金を投入するのではなく、企業が収益を上げ、その利益がまちに還元されることで、横浜市全体の豊かさにつながります。

ところが、障壁として、「過度な平等主義」と「未知へのリスク恐怖」、「サイロ型(縦割り)組織」があります。

「過度な平等主義」とは、形式的に平等にすることで実質的には公平にならない場合があることです。

「未知へのリスク恐怖」とは、「何か起きたらどうする?」を過度に恐れることです。

「サイロ型(縦割り)組織」とは、硬直化して融通が利かない、他部署と協力や情報共有をせず、孤立している状態を穀物貯蔵庫(サイロ)に例えた言葉だそうです。

これらの障壁に対し、特定の企業との連携をダメと考えるのではなく、プロセス(対話と合理的な選定)の透明性・公平性を担保すること、リスクの発生確率と結果の大きさを勘案し、「正しく怖がる」こと、自部署の所管をはみ出し、外部や他部署とつながることで、共創を進めることができるとのことです。

他都市の共創事例

河村講師が関わって全国に広がっている事例の一つとして「企業版ふるさと納税活用プロジェクト研究」をご紹介いただきました。企業の寄附を活用して新事業の人材育成や事業化を行うことで、地域経済活性化や地域課題解決に寄与し、地域の行政も企業もWin-Winとなっています。これらの共創事業は、お互いに話し合い、価値を理解し、価値を広げています。

共創推進に必要な視点や姿勢・考え方など

共創を進めるための一つの考え方として、プロジェクトにおけるステークホルダーとその役割、個々の目的、共通目的を可視化すること(パーパスモデル)があります。

共創を進めるポイントとしては、ノウハウ・事例の蓄積と共有、シンプルな事業スキームを目指す、小さな成功事例の積み重ね、ステークホルダーの理解と応援を得ることがあります。

失敗事例の原因としては、従来型の人口拡大社会での成果を現在の人口縮小社会で適用しようとしたり、「儲けるのは悪」という意識があったり、過去の常識にとらわれたり、無批判にシステムを受け入れることが見えています。

未来への展望

最後に、これからの組織には「思考OSのアップデート」が必要との指摘がありました。従来の思考から脱却して、「実質的公平性」「リスクマネジメント」「越境と対話」を大切にすること、手元の資源から出発し許容範囲内で何度でも試し、パートナーとともに未来を紡ぐことで豊かな共創を作り出していこうとの力強いまとめがありました。

そして、以前の予測できる世界での「コーゼーション」(causation、目的から手段)と、予測できない世界での「エフェクチュエーション」(effectuation、手段から目的)という行動様式をよく調べてみるように、との宿題をいただいて、講演が終了しました。

グループトーク

5~6名ずつのグループで、講義で学んだこと、自分のやり方を変えたいと思ったこと、反省したこと、その他講義を聞いて感じたことなどを共有しました。

学んだこととしては、これまでの当たり前を当たり前と思ってはいけない、アップデートしなければいけない、平等と公平について考えた、共創の意味が分かったので新たなテーマに取り組みたい、などの意見がありました。

変えたいこと、反省したこととしては、マニュアルに頼ってはいけない、組織の変化が必要、これまでやってきた事業を民間や大学ともつなげて発展させたい、などの意見がありした。

どのグループからも、様々な主体とつながって事業を進めたいとの前向きな発表がされました。

最後に質疑応答がありました。

「協働と共創は違うのかと感じている。先生の視点ではどうか?」という質問に対し、「お互いのためにそれぞれのリソースを出して一緒にやっていくことは同じだと思う。目的のための手段と考え、手段が目的化しないように進めるとよい。」と講師からお考えについて回答がありました。

また、「協働共創を進める際に、何をしていくべきか」という質問には、「それぞれのセクターで、半歩ずつ歩み寄ることが大切。公務員、営利企業、NPOそれぞれが目的を達成するためにこれまでの自分はちょっとだけ間違っていたかもしれないという気持ちをもつとよいのでは」との回答でした。

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