横浜市市民協働推進センター

取り組み紹介 「市民公益活動緊急支援 助成団体のいま」~音楽スペースおとむすびさん~

音楽スペースのイラスト
2022.3.17 市民公益活動緊急支援助成
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■この企画について

市民公益活動緊急支援助成金事務局(横浜市市民協働推進センター)の田中です。
助成を受けた団体さんのその後の取組状況について情報収集していたところ、それぞれの団体さんが創意工夫を重ねながら、取組を継続されていることが分かりました。そこで、市内で奮闘されている方々へヒントになるような、「取組の秘訣」をインタビューしました。ぜひ、ご活動の参考にしていただければと思います。

■音楽スペース おとむすびさん

音楽スペース おとむすびさんは泉区で、「音楽と人との縁結び、音楽を通した人と人との縁結びの場」を開いています。

・そこで暮らす人たちの多様性をリソースとして生かし地域を豊かにすること

・多様性を包括できる媒体として「音楽」を捉え、人と音楽との出会い、また音楽を通した交流の場をつくること

を目指しているそう。

今回お話を伺ったのは、代表の小柳さんです。

小柳さん:「私たちは、多様性の中で、障がいや高齢などの理由で生きづらさを感じている人たちを特に大切に扱いたいと思っています。おとむすびではインクルーシブな場であることを前提としているので、各企画には「高齢者対象、障がい者対象」とは謳っていませんが、当然のこととして、そうした方々が参加されても対応できる準備をしています。」と場をつくる上で大切にしていることを教えてくださいました。

音楽スペース おとむすびホームページ

※可愛らしいカバー画像は、娘さんの力を借りたとのこと。「使えるものは使う」がモットーだそうです♬

■助成を受けたきっかけ

「歌声サロン等の音楽サークル活動」について助成を受けられたおとむすびさん。

小柳さん:「コロナウィルス感染拡大当初にカラオケでのクラスターが頻発したこともあり、飛沫拡散防止の観点から、「歌うこと」ひいては「人と一緒に音楽すること」が大変難しくなりました・・・。一方で、在宅の長期化による、特に高齢者の機能低下やフレイル状態(要介護予備軍)の増加を懸念していました。」


本助成金については、他の事業で助成を受けている「ヨコハマアートサイト」からのメーリングリストで知ったそうです。

小柳さん:「私たちは音楽療法士として働く構成員が多いため、「歌うことの心身への効果」を実感しているのですが、「実際に声を出して歌うこと」が制限されている状況であれば、代替策として何かできないかと考えていたところでした。」

■助成事業では

助成を受けて、感染対策用品を購入されていましたよね。具体的にはどのような事業を実施されたのでしょうか?

小柳さん「場をつくることを止めず続けていきたいものの、感染予防のため「歌う」ことが難しい中でした。そこで、「手話で歌う」ことにチャレンジしました。1か月前にチラシ、SNS等で参加者を募り、満員(定員8名)の申込みがありました。障がいのある方2名を含む10代~70代の幅広い方々が集まりました。」

■つながることで、新展開

初めての試みでしたよね、どのように実現させたのでしょうか?

小柳さん:「手話サークルに参加している地域住民の方がいらしたので、その方に講師を依頼しました。泉区ボランティアネットワークの「障がい者支援部会」で出会った方をご紹介いただいたんです。一緒にどんな風に実現できるか相談して、『つばさをください』『Believe』の歌詞を手話で表現し、ピアノ伴奏で「歌い」ました。

換気のための休憩を挟みながら、1時間半行ったのですが、参加者の方からは、『歌えないなら手話がある、というのは目からうろこでした』『コロナ禍でも充実した時間を過ごすことをあきらめてはいけないと思いました』『普段参加しているコーラスが休止中なので久しぶりに楽しい時間を過ごせました』など、うれしい感想をいただきました!」

■2021年度の活動は・・・

手話で歌うことで上半身全体や表情が、いつもと違う動かし方になりますよね。とっても身体によさそうです!2020年度の助成終了後は、どのような活動をされていたのでしょうか?

小柳さん:「『歌声サロン』は、少人数ながら引き続き行っています。比較的若い年代(5060歳代くらい)を対象としたグループでは、秋以降参加人数が戻りつつあり、新しいメンバーも加わっています。一方、高齢(7080歳代)の方は一度離れると戻りにくい印象がありますね。」

「あとは、オンラインでの合唱は難しかったです。どうしてもズレてしまって。伴奏を流して、歌い手はミュートにすることもやってみましたが、最初はめちゃめちゃでした。(笑)でも少しずつ慣れていきました」

オンライン合唱はやはり難しいですか。でもナイスチャレンジですね!他の活動はいかがですか?

小柳さん:「『ウクレレクラブ』は、緊急事態宣言下ではオンラインで行いました。鎌倉や目黒など遠方からの参加者も含めて、最大で7名くらいがオンラインでつながって活動をしましたよ。「オンラインなら開催時間に間に合う!」という方もいらっしゃいました。LINEグループで、お互いの演奏動画を送り合うなどしています。緊急事態宣言解除以降は、『やっぱり対面がいいよね』と気をつけながらハイブリット開催をしています。」

「その他にも、歌わないでできる音楽活動を考えて、『歌詞を味わうワークショップ』を実施しました。これは、書道の講師を呼び、古代文字で歌詞を書きながら音楽を聴く、という内容です。『写経のような集中と達成感があった』と感想をいただき、4回ほど実施しました。」

古代文字ですか!珍しいワークショップですね。聞いただけでワクワクします。

小柳さん:「とっても好評でしたよ。異分野の方とのコラボはワクワクしながら企画していて、私も一参加者として楽しみました。あとはミニライブも開催していますが、定員を1/3程度にし、2部制で行って密にならないような工夫を続けています。」

■これまでの取組をふりかえって

ご活動の様子を教えてくださり、ありがとうございました。声を出して歌うことが難しい状況でも、創意工夫によって、その制限を取組の面白さに変えてしまうこともできるのだと分かりました。助成が団体全体にもたらした影響や、得た学びがもしあれば教えてください。

小柳さん:「音楽スペース おとむすびは、20194月に立ち上げたばかりの拠点で、これから広げていく、というタイミングでのコロナ禍でした。ただ、「広げる」ということは数(来場者や事業)を増やすということではなく、『必要な人に必要な活動を届ける、という丁寧な広げ方をしていきたい』と考えていて、その原点を確認することになった2020年度でした。」

「そして、助成があることを知ってから、具体的にプランを考える、連携する人を探す、という段階を経て実施に至りました。・・・私たちのような任意団体では、開催・中止の判断は自分たちがしなければならないので、たくさんの葛藤がありました。その中でも、「止まる理由はたくさんあるけど、一度完全に止まってしまうと次に再開することが難しくなってしまう。小さくても動いていこう」と考えていました。2020年度の状況では様々なことが不確かな中だったのですが、助成を受けたことで「動いていいんだ」と後押しされたような気持になりました。「動ける」ということ自体が活動の継続に向けた動機となり勇気づけられました。『直接参加はできないけれど、SNSで活動が続けられている様子を見るだけで元気がでた』という声もいただきました。

あとは『不要不急』という言葉が多く使われていましたが、腑に落ちないなと思っていました。その人にとって必要かどうかはその人が決めることなのに・・・と。だから完全に活動を止めずにいました。」

■最後に一言、お願いします!

小柳さん:「先ほども話しましたが、音楽スペースおとむすびが2019年にできて、活動を大きくしようと焦っていたところがあったのですが、コロナが流行して逆に、少しクールダウンができたと思っています。一度落ち着いて、できることを考えたり、関心のあった認知症カフェの「ゆうカフェ」を立ち上げる準備をしたりしました。」

「あとは、思いがけずコロナの間もネットワークは広がっていった印象があります。例えばInstagramを通して障がいのあるお子さんをもつママグループと繋がったり、精神障がいのある方とご縁ができたりしました。他の地区で同じテーマで取り組んでいる団体さんから、『(おとむすびのある)泉区から通っている方がいるのですが・・』とご紹介があったこともありました。様々な葛藤はありますが、完全に活動を止めず、どうしたらできるかなと知恵を出し合って、たとえ小さくても今できる動きをしていく、そのことで学ぶことや得ることは決して小さくないと感じています。」

■おわりに

とっても物腰が柔らかく、すてきな笑顔の小柳さんでした。ありがとうございました!

これからのご活動も応援しております!

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