ミズベサロン「我々が考える『働き方、生き方』とは」開催レポート
2023年10月27日18時~20時、「我々が考える『働き方、生き(行き)方』とは」をテーマにミズベサロンを開催しました。(対面・オンラインのハイブリット形式)
精神障害当事者だけでなく支援者、研究者など様々な立場の方々が集まり(会場参加11名、オンライン参加8名)、3名の方から提供されたテーマ・話題をもとに話し合いました。
話題提供者
蔭山正子氏(大阪大学高等共創研究院 教授)
「恋愛支援や育児支援の取り組みの必要性について」
田中康雅氏(株式会社パパゲーノ代表取締役 CEO)
「そもそも仕事とは何か」
相川章子氏(聖学院大学心理福祉学部心理福祉学科 教授)
「ピアサポート研究から見えること」
恋愛支援に関する研究から 「あいりき」
蔭山さんからは、自身の研究テーマでもある「恋愛支援」について話題提供がありました。
福祉施設が恋愛や結婚、育児などを拒むことは人権侵害であり、人として生きる上で起こる様々なことに対して支援が存在するのであれば恋愛などの支援も必要ではないか、という想いから「あいりき」というピア学習プログラムがスタートしたそうです。
「なぜ事業所では恋愛などを禁止するのかわからない」という参加者の疑問には、こうした事案の対応が難しい現状について詳しくお話しいただきました。
対話の中では、「働いていないと恋愛自体が難しい、恋愛や結婚をしてはいけないのだろうか」、「社会的ジェンダーによって苦しんでいる」という声や、「病気や障害というのは相手のごく一部に過ぎないのでそこに囚われないことも大事なのではないか」という意見もありました。
様々な働き方への考え
田中さんからは、時代と共に変容する「働く」ことの定義や、AIの導入によって転換期を迎える可能性などについて、話題提供がありました。
時代も変わり、eスポーツやVtuber、アーティストなど様々な働き方がある中で、「フリーランサー、個人事業主としての障がい者の働きも支援する必要がある」という声や、働きたくない人への支援についての意見が上がりました。
当事者として、支援者として「ピアサポーター※」
相川さんからは、ピアサポート研究を通して「生きていていいと思えること」を大切にしてほしいという投げかけがあり、ピアスタッフやピアサポートについて盛んな意見交換がありました。
ピアスタッフとピアサポーターの違いについてまだ理解されていない状況で、「そもそも分ける必要があるのか?」といった疑問もありました。また、障害者雇用で働くとは何か、どうしたら働けるかといった現状の福祉に欠けている部分をピアサポーターが補える可能性などの話題が出ました。
それぞれの話題をもとに活発な意見交換の場となり、オンラインからも、それぞれの考えや会場の話題に沿った意見などがチャットで流れてきました。
ピアサポートとは
同じような悩みや課題を持っている人同士がつながり、支え合うことです。ピアサポーター
ピアサポートを行っている人(自身の経験を活かして他の当事者を支援する人)のことです。
ピアスタッフ
ピアサポーターとして、所属する機関と雇用契約を結び働く人のことです。
感想と今後の予定
話題から会話が広がり意見交換が盛り上がり、予定時間を20分超えて対話の会が終了しました。
今回のイベントを通して「何でも語り合える場」の必要性を強く感じました。
困っていることや悩んでいることを率直に語り合える場がないため、日常的に我慢するような状態になっているのではないでしょうか。ただ吐き出すのではなく、同じような境遇、環境だからこそ共感や承認が生まれ「自分だけがおかしいのでは?」といった不安が和らぎ、安心感が生まれるのかもしれません。
日常的に気持ちを吐き出す場の少なさもあってか話が広がり、本来のテーマである「働くこと」を深く掘り下げるに至りませんでしたが、働く以前の「生きる」という部分での発言が多かったことから、生きることを肯定する場を増やしていけると、社会参加の機会が増えていくのではないでしょうか。
今回の会を活かして、継続的なアフタートークを開催したいと思います。
アフタートークとは
イベント参加者が再度集まり、話題を広げたり深堀りするなどして、交流を深める場です。
※イベント参加者以外の方もご参加いただけます。
今後のアフタトークに参加されたい方は、こちらからお申込ください。