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協働トライアルセミナー2023<協働の未来をつくろう!>|第1回 身近な市民協働  Event Report

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第1回 身近な市民協働 <キックオフ>

登壇者3名の顔写真

第1回は「市民活動発、行政との協働プロセスを知ろう!」と題し、ゲストに三坂慶子さん、田川尚登さんをお招きして、各団体のプロジェクトや協働のプロセスについてお話いただきました。

開催概要

【開催日時】
2022年12月8日(木)18時30分~20時45分

【テーマ】
市民活動発、行政との協働プロセスを知ろう!

【講師】
三坂慶子氏
〔NPO法人 Sharing Caring Culture 代表理事〕
田川尚登氏
〔認定特定非営利活動法人横浜こどもホスピスプロジェクト 代表理事〕

【オーガナイザー】
治田友香〔関内イノベーションイニシアティブ株式会社 代表取締役〕

外国籍住民による地域の子育て情報冊子制作プロジェクト

る地域の子育て情報冊子「OYACO」の発展性についての説明図

まずは、三坂さんからは、NPO法人 Sharing Caring Culture(以下、SCCと表記)が発行する、外国籍住民による地域の子育て情報冊子「OYACO」の制作プロジェクトを紹介いただきました。

▼子育て情報冊子「OYACO」はSCCホームページでご覧いただけます。
https://sharingcaringculture.org/publication-oyaco-reference-booklet

このプロジェクトの背景には、外国人在住者の方たちが抱える、情報格差とそれによる地域からの孤立や外国人主婦の孤独な育児などの地域課題があり、冊子「OYACO」制作にあたっては、そうした課題を日頃から感じている外国人主婦の方たちが関わっています。それには、このプロジェクトを外国人在住者にとっての地域参加の機会にしたかったという思いがあり、結果、それらの方たちが関わることで当事者目線での調査・分析、課題の可視化ができるようになり、そこで得られた情報は団体にとっての価値になっています。

元々、団体では外国籍の親子が集まれる場を開いており、参加者同士でたくさんの地域情報を共有しあっていたことが冊子作成のきっかけになっています。この場を通じて、自ら講師となって活動する外国人主婦とも出会うことができ、各々がもっているスキルを地域で発揮できる機会をつくりたいという当初からの思いを実現することができました。活動を始めたばかりの頃は人を集めるのに苦労しながらも、必要としている方たちのために場を持ち続けることが、人を巻き込んでいくうえで大事と三坂さんは語ります。

冊子の作成過程には様々な団体・機関が関わっており、また、冊子の作成・配布することで、さらに繋がりが広がりました。例えば、港北区役所とのつながりもその一つで、作成した冊子をこれからどうやって広げていこうか考えていた時に、「うちに置きたい」と声をかけてくれたのが『大倉山おへそ』さんで、それをきっかけとなって区役所とつながることができました。
また、横浜市の補助事業を活用したこともポイントとなっており、冊子の初版発行当時は区の施設に置かせてもらいづらかったものの、「横浜市多文化共生市民活動支援補助事業」に採択されたことで、市内の様々な施設にスムーズに置かせてもらえるようになったそうです。

横浜こどもホスピスプロジェクトの目指すもの

田川さん登壇画像

次に、田川さんからは、国内外の小児緩和ケアの状況や事例を交えつつ、「横浜こどもホスピスプロジェクト」のこれまでの歩みを紹介いただきました。

こどもホスピスとはイギリスを発祥として世界に広がった文化で、病気とともにある子どもと家族を地域で支える新しいコミュニティのあり方。しかし、国内では約12万人の慢性疾病の子どもたちがいるものの、そのうち小児がん等の重い病気の約2万人の子どもとその家族は制度の狭間で 孤立し負担を抱えているのが現状だそうです。

横浜こどもホスピスプロジェクトは、2013年に「こどもホスピス」設立を願って遺贈寄付を受けたことから大きく前進。当初から病院との繋がりは元々あったものの、子どもホスピスは医療関係者にはいい反応ではない中で、活動を通じて段々と理解が深まり、対応が変わってきたそうです。
7年半が経過した2021年、日本で2つ目のコミュニティ型こどもホスピス「横浜こどもホスピス~うみとそらのおうち」が落成・開所。現在、地域コミュニティに開かれた場として、地域の人たちの力を借りながら運営されています。

▼「うみとそらのおうち」については、こちらのホームページをご覧ください。
https://childrenshospice.yokohama/ych/index.html

様々な運営資源を集めるために「共感を得ること」に重きを置いて発信しているそうです。そこで重要なのは「いいことをしているからといって、必ずしも分かってもらえるわけではない」ということ。それぞれの人に合わせた説明や対話の仕方を抑えないと、上手くいくものも上手くいかないため、地域の人への伝え方、行政への話し方など、相手の話し方にきちんと合わせることがカギとなります。

2022年11月には、こども家庭庁の流れと軌を一にしたこともあり、議員側からの提案で、こどもホスピスを応援する議員連盟が発足しました。共感の輪が広がり、声がけしてくれる人が増えることで、着実に活動は大きくなっています。

まとめ~これから目指すことと受講生へのエール~

会場全体画像

発表後のトークタイムや質疑応答を経て、最後にお二人から、本日のまとめとして、これから目指すこととエールを一言ずついただきました。

三坂さん:
プロジェクトがタウンニュースで注目されたことで、スタッフの自己肯定感が向上するということがありました。日本に来て「何も役に立てない」と思っていたところから、自分も「地域の役に立てる」といった変化が見られたことをこれからも大事にして、活動を続けていきたいです。
そして、自分たちの団体の価値について考えることも大事で、ヒアリングの際に、SCCの価値は多言語による子育て情報・地域情報だとはっきり言われたことが、冊子OYACOをつくるきっかけになったし、そうした価値を企業や行政に伝えていけるようになることで、協働につながるのではないかと思います。

田川さん:
国内に難病の子どもたちが沢山いる中、日本には子どもホスピスは2箇所しかないのが現状です。全国の小児がん拠点病院の近くにホスピスが必要と考えているので、神奈川県や横浜市と協働しながら、地域の課題として全国に広げていけるよう、議員連盟の方々や全国で取り組んでいる方たちとともに、横浜モデルを広げていけたらと思います。覚悟をもってやれば必ずできると思うので、みなさんも頑張ってください。

それぞれの専門性やネットワークなどを掛け合わせることで、自分たちだけではできないことを実現できるようになることが協働の意義であることを、2つの事例を通じて学んだ第1回でした。

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