横浜市市民協働推進センター

取り組み紹介 「市民公益活動緊急支援 助成団体のいま」~NPO法人ひだまりの森さん~

ひだまりの森の画像
2022.2.7 市民公益活動緊急支援助成
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■この企画について

市民公益活動緊急支援助成金事務局(横浜市市民協働推進センター)の田中です。
助成を受けた団体さんのその後の取組状況について情報収集していたところ、それぞれの団体さんが創意工夫を重ねながら、取組を継続されていることが分かりました。そこで、市内で奮闘されている方々へヒントになるような、「取組の秘訣」をインタビューしました。ぜひ、ご活動の参考にしていただければと思います。

■NPO法人ひだまりの森さん

ひだまりの森さんは、相談を軸とした子育て期の親支援の活動をされています。子育て期の親の孤立は、虐待・親の精神疾患などの誘因となり、子どもの健全な成長を脅かすことが危惧されています。「親の悩みが小さなうちに気軽に相談できる場」が孤立や虐待等を未然に防ぐことに繋がると考え、「子育て期の相談」事業を中心に活動を行っていらっしゃいます。特に無料・匿名制の電話相談に力を注いでいるとのこと。今回は、理事長 林さんにお話を伺いました。

NPO法人ひだまりの森 ホームページ

■助成を受けたきっかけ

ひだまりの森さんは、「オンライン相談導入事業」で助成を受けられましたよね。どのような経緯で申請されたのでしょうか?

林さん:「当法人の事業である「子育て期の相談」は、無料電話相談と有料対面相談を実施していますが、新型コロナウィルスの影響で助成金申請当時、対面相談は中止となっていました。利用者からオンラインでの対面相談の要望がありましたし、対面相談での収入は無料電話相談を支える財源でもあることから、その代わりとなる収入として「オンラインでの有料相談」を導入することを検討していました。そんな状況の折、横浜市市民協働推進センターメールマガジンで助成金の情報を得て申請にいたりました。オンライン相談により利用者・運営両面のニーズに対応し、コロナ禍で厳しい状況にある子育て期の親支援の充実を図ることを目指しました。」

※助成金で購入したPC

■助成事業では

オンライン実施のため動き出されたことが、利用者の方々にとってどんなに嬉しいことだったか、目に浮かびます。実際に実施した時のことを教えてください。

林さん:「中止している対面相談をオンラインで再開するため、まずはパソコン等の環境整備から始めました。並行して、「事業を周知するための情報発信」として、SNS・チラシ配布の準備を行いました。事務局の感染対策として、相談対応を相談室と事務局に分散させ密にならないようにしました。他にも、公共交通機関を避け車での通勤もOKとするなど、コロナ禍でも対応できるよう、各方面で体制の整備をしました。

7月から広報を開始し、8月下旬より相談予約受付。9月より相談を実施し、12月末までに57件の相談をお受けしました。感染者数の増加とともに相談者の不安も増していた時期でもありましたので、相談者からは「しばらく人との関わりが殆どない状況で、画面越しでもいいから人と顔を見て話したいと思っていました」との反響もありました。

特に相談が多くなったのは、学校が再開した後のタイミングです。緊急事態宣言中は子どもが家にいて、夫がリモートワーク。そんな状況では電話相談を利用できなかったとの声も届いています。」

■実施されてみて分かったことや、工夫されたことなどを教えてください。

林さん:「そうですね。助成金申請時で、相談料を有料(1コマ501,000円・将来的には3,500)としていましたが、令和2年度末まで無料に変更しました。広報開始後に、「オンライン相談に関心がありながらも利用には躊躇する方が多い」と分かったからです。相談者の負担をより軽減するため導入期間は無料とし、利用しやすくしました。

私たちの強みは、ダイレクトに相談者 からフィードバックをもらえることです。電話で匿名の気軽さもあるのか、「対面相談や公的な機関で言いづらいことでも、敷居が低いので話しやすい」という声を頂きます。「悩みや気がかりを話す小さな声が企画のヒント」なので、それを丁寧に聴かせていただくことをとても大切にしています。

また、精神疾患や経済的困難の方が急増していることもあり、負担軽減の方向に進めた一因になりました。12月に入ってからはオンライン相談のリピーターも増え始めたので、状況を見ながら来年度の有料化を目指しています。」

林さん:「導入当初はオンラインに関心を持っていただき、一時は利用が増えましたが、次第に電話相談に戻って行く傾向が出てきました。不安を抱えた相談者は「今、話したい!」という気持ちが大きく、「予約して日時を決めることが煩わしい」「タイミングを逸してしまう」との声をいただいています。相談者数自体は減っておらず、むしろコロナ禍の影響等で不安が大きくなっていて、「電話相談の頻回利用の相談者」が増加していく傾向が2020年度末頃から出てきました。」

■2021年度の活動は・・・

林さん:「オンライン相談は3回まで無料、それ以降は予約電話相談と同じ条件(※参照)で実施しています。※一般 1,000/30分 ママ会員500円/30分 ママ会員年間費:1,000/

導入当初の利用は長年のリピーターが主でしたが、現在は新規の方が「電話相談ではなくオンラインを」と希望されるケースが僅かですが増えています。また、従来の「小さなしゃべり場」(対面 4名定員)はオンラインを希望する方が集まればZoomで実施していましたが、2021年秋以降は、対面を望む方と半々と希望が別れていて、場の設定に苦慮しています。」

■これまでの取組をふりかえって

たしかに、各々の事情によって、希望は分かれるので悩ましいですよね・・他にも、何か分かってきたことがあればぜひ教えてください。

林さん:「コロナ禍の影響を受けている子育て期の親、法人の対面相談への打開策の手段として、オンライン相談導入を助成金により決断することができたのは大きなことだったと思います。コロナ禍における子育ての影響を注視し、申請事業の計画・目的意識を明確にすることができました。相談者やその子どもの年齢・ニーズはますます多様になっているため、相談方法の選択肢を複数提示できることは、孤立傾向の親子が支援から漏れてしまうことを抑制できると考えています。

また、例え、ぴったりとニーズに合っていなくとも選択肢があることで こちらの誠意が伝わり「解決の特効薬はないけれど、一緒に悩み考えてもらえる安心感をもらっています」と信頼を得ることができたケースもあります。

しかしながら、収入減である対面の専門相談の利用は激減し、残念ながら復調しておりません。ただ、その代わりとなる収入は有料講座(リスナルケアラー養成講座)で充当できています。これは、法人認定相談員「リスナルケアラー」を養成するための講座で、20216月~7月にリスナルケアラー初級編養成オンライン講座をよこはま夢ファンド助成金にて実施。11月~12月リスナルケアラー入門編養成講座(対面)は 県コミュニティカレッジの講座として実施しました。例年より受講希望者が多く、定員30名のところ、定員以上の申込がありました。

※オンライン講座の様子

支援者や社会貢献を目指し「コロナ禍で、こういう時だからこそボランティアをしたい」「学びたい」「自身の経験を役立てたい」と、様々な立場の方が有料講座受講・無償ボランティア活動を希望されています。2021年年度12月までに6名のスタッフが増えています。ただ、今後の課題としてメインの電話相談を実施しながらの新人育成、多様なニーズに応える相談体制をキープする難しさも感じています。

■最後に一言、お願いします!

相談してみようと思えるような活動、相談してよかったと思ってもらえるような時間にしたいと思っています。話しているうちに、自分の中から湧き出てくる言葉を大切に、自分でその言葉や行動を選びとれるようなお手伝いをしています。

■おわりに

とても大切な活動であると実感するインタビューでした。これからのご活動も応援しております!

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