横浜市市民協働推進センター

取り組み紹介 「市民公益活動緊急支援 助成団体のいま」~NPO法人スペースナナさん~

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2022.1.31 市民公益活動緊急支援助成
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■この企画について

市民公益活動緊急支援助成金事務局(横浜市市民協働推進センター)の田中です。
助成を受けた団体さんのその後の取組状況について情報収集していたところ、それぞれの団体さんが創意工夫を重ねながら、取組を継続されていることが分かりました。そこで、市内で奮闘されている方々へヒントになるような、「取組の秘訣」をインタビューしました。ぜひ、ご活動の参考にしていただければと思います。

■NPO法人スペースナナさん

スペースナナさんは青葉区あざみ野で、ギャラリーやフェアトレードショップのあるコミュニティカフェを運営している団体さんです。11年前の設立以来、<誰もが安心して暮らし、ゆるやかに支えあえる地域づくり>をめざして、連続講座や映画会、地域の作業所に通う方たちの「ココロはずむアート展」、地域交流食堂の「ナナ食堂」などさまざまな活動を続けてこられています。2020年度からは高齢者の通所サロン「シニアの遊び場」、「フードドライブとパントリー」(食料支援)をスタートされました。今回は、理事 稲邑さんにお話を伺いました。 スペースナナ ホームページ

稲邑さん、まずは最近のスペースナナの様子について教えてください。

稲邑さん:「コロナ禍の下、いままでやってきた講座事業や上映会・企画展、ナナ食堂などの開催が中止・縮小に追い込まれる中で、新たに始めた高齢者の孤立や認知症予防の事業や「フードドライブとパントリー」の事業に軸足が移ってきています。特に高齢者事業を始めたことで、地域ケアプラザや区役所、社協、地区社協など地域の公的な機関との連携ができるようになり、「フードドパントリー」を始めたことで地域食堂を開いていてもなかなかつながることのできなかった支援が必要な方たちとの接点がすこしずつ生まれてきています。しばらくはこの2つの事業を中心に進める予定です。

また、障がいのあるお子さんの親御さんたちの会もスタートしているので、ゆくゆくは高齢者だけではなく障がい児・者の方の住みやすい街づくりも視野にいれていきたいと思っています。」

■助成を受けたきっかけ

スペースナナさんは、「フードドライブとパントリーの活動事業」で助成を受けられましたよね。どのような経緯で申請されたのでしょうか?

稲邑さん:「2015年に「子ども食堂」の活動に賛同して始めた「ナナ食堂」がコロナで休止となったので、かわりに何かできることはないかと、5月に「フードバンクかながわ」の話をZOOMで聴いたフードシェアをめざす複数の団体とともに、「青葉フードシェアネットワーク」を発足させ、フードドライブとパントリーの活動を9月から始めることにしました。

始めてみたところ、生もの・冷凍品や野菜などの寄付の申し出が早速舞い込んだので、古い小さな冷蔵庫の代わりに、新しく大型の冷蔵庫を購入する必要がありました。また、車で「フードバンクかながわ」に食料を取りにいき、お互いの団体で集まった食料を融通しあうなど、台車、ガソリン代や駐車場代などの出費もかさみ、チラシの製作費も必要な状況でした。そんな矢先、横浜市市民協働推進センターからの情報で、助成金の募集があることを知り、応募しました。」

※載せきれないほど、様々な食料の写真を提供いただきました。一部を掲載します。利用者さんから「パスタは子どもたちが大好きで乾麺は出番が多く助かります。」「野菜の値段が高いのでとてもありがたかったです。しかも大好きな野菜、本当に嬉しかったです。」「お菓子類、子どもが大喜びです。生理用品も必需品なのでとても助かります。」など、たくさんの声が寄せられているそうです。

■助成事業では

稲邑さん:「初回の9月末の実施では、フードドライブで集めたものや社協からの提供品を、外国につながる子どもたちや定時制高校生への学習支援を行っている団体を中心に届けました。

2回目は10月末に青葉区の2大学の担当者と連絡がついたことから、学生からの申し込みが20件くらいあり、フードドライブの寄附品やフードバンクかながわからの提供品と、たまたま寄付のあったマグロを加工した佃煮を学生やひとり親家庭に配布。3回目は12月初めに実施。社協からの紹介やチラシを見て、困窮するご家庭からの問い合わせが増えてきて、新たに緊急の希望があれば、実施日以外でもフードドライブなどで集めた食品などをお渡ししています。冷蔵庫が購入できたお蔭で寄付の冷凍肉や野菜の保管ができ、他の団体にも融通できる体制ができて助かりました」

■2021年度の活動は・・・

とてもたくさんの方へ届いている様子が伝わってきます。その後、2021年度はどのようなご活動になっていったのでしょうか?

稲邑さん:「青葉フードシェアネットワーク」の活動が広がっていくことで、団体同士で食料を融通しあい、毎回野菜も提供できるようになりました。また、たまたま出会った乳業メーカーの担当者から消費期限が近づき廃棄処分になる予定だったチーズやヨーグルト、常温保存の牛乳などを提供してもらえることになりました。子どもたちが大喜びと利用者の方たちには喜ばれましたし、「フードロス」の解消に貢献するという、もう一つの目的を果たすことができるようになり、とても嬉しく思っています。毎月食品を購入しては届けてくださる方も多くいらして、近隣のクリニックが、贈答品のお菓子を寄付して下さるご縁もでき、寄付をしてくださるたくさんの方のご厚意に支えられて初めて成り立つ活動です。

最初は学生が多かった利用者も、「社協や地域ケアプラザからの紹介やチラシを見て」、「店頭のポスターや旗を見て」と、毎月2名くらい新規の方が増え、現在、団体も含め25組くらい。ひとり親家庭を中心に、仕事に就けない単身者、認知症の親御さんをみている障がい者の方など、多様になっています。

マンパワーやスペースの広さから、あまり大規模な展開は望めませんが、週5日開店しているので随時寄付を受け取ることができ、ストックがあり飛び込みの需要にも対応できる強みを生かしていきたいと思っています。またメンバーが固定してきたので、月一回の緩やかな見守り機能も果たせるようになってきました。個人だけではなく、カンボジアなど外国につながる子どもたちの支援団体にも毎月お米や麺類などをお分けしていますが、乳幼児の衣類を常時必要としているとのことで、乳幼児の衣類をボランティアの方たちのネットワークや「青葉フードシェアネットワーク」で募りお渡ししています。」

※7月から手作りのドライフラワーをK様から寄付して頂き、その売り上げを支援にまわすことができるようにもなりました。店頭も華やぎ、「寄付できるような食品はないのだけど、綺麗なドライフラワーを購入することで参加できるなら!!」というお声も届いています。

■これまでの取組をふりかえって

まさに「コミュニティカフェ」ですよね。地域の様々な方が、互いにできることで支え合う仕組みを作り続け、その輪が大きく広くなっている。他の地域でも、スペースナナさんのノウハウを学びたい方がいらっしゃるかと思います。ぜひ、どういった工夫が今に繋がっていったのか教えてください。

稲邑さん:「まず大型冷蔵庫を購入できたことで、当初大量に届いた魚や肉の冷凍品の受け取りが可能になり、現在は腐りやすい乳製品や野菜の保管に役立っています。感染拡大の状況をみて佃煮などの加工は休止していますが、大根が大量に届いたときに葉を茹でたり塩漬けにしたりして、すぐ調理できる状態にして渡すなどしています。この状態にしてからお渡しすると、一手間省けるので喜んでいただけるし、フードロスの解消に気軽に取り組めることにもなります。

初期の諸々の費用をあまり考えずに始めてしまった事業でしたが、必要な方に届けることが当初想定していたよりは比較的順調にできたこと、ボランティアの方たちの確保や食料の受け取りなど自立して安定的に運営できているのは、スタート時の宣伝費や物品購入費、交通費・駐車場代などの運営経費を助成金で確保できたお蔭だと感謝しています。

ナナ食堂は現在も休止中ですが、ナナ食堂のボランティアのかたたちが「フードシェア」の活動を中心になって支えてくれました。一年間のフードシェアの活動によって、新たな体験を重ね、その活動を深めることで、「ナナ食堂」の本来の目的だった子どもの貧困のテーマに以前より近づくことができました。食堂が再開したときは、フードシェアの利用者の方たちにも呼び掛けられる状況ができたことは大きな成果だと思っています。

また、スタート時点で「生活クラブ生協」のネットワークから生まれた「青葉フードシェアネットワーク」とともに歩めたことは大きな強みでした。このネットワークの中で、お互いに助け合い、情報共有しつつ進めていけたのはとても心強かったです。その他にも、スペースナナのギャラリーの利用者のかたのご紹介で、近隣の小学校から依頼があり「フードシェア」の授業を実施するなど、様々なご縁に助けられています。始める時は「対象者の方につながることができるかな・・」と不安でしたが、スタートさせ、場を開いていれば、情報や人とつながってくるのだということを実感しています。」

■最後に一言、お願いします!

稲邑さん:「では、最後に宣伝を。フードシェアを始めた近隣の団体で結成された「青葉フ―ドシェアネットワーク」は、発足当初フードパントリーを実施している団体はうちも含め2団体でしたが、それぞれがフードドライブを実施していました。若手の機動力のあるメンバーが近隣の企業に連携を働きかけたり、野菜提供者の方の畑に出かけて収穫を手伝ったり、団体間の食料の運搬をしたり、ラインやZOOM会議で常時情報共有しつつ、新しく立ち上げる団体を支援しながら、都筑区・港北区など、青葉区外の隣接する地域にネットワークを広げていきました。近隣のフードシェア団体のMAPを制作し、HPにアップしていますので、ぜひご覧ください。

青葉フードシェアネットワーク「フードシェアガイド」

改めてとなりますが、フードシェアは、皆さまのご支援により続けられています。必要としている方たちに食料をお届けするために、未開封、常温保存が可能な食品の寄付を募っています。一緒に活動して下さるボランティアスタッフも募集中です!周囲に食料配布を必要としている方がいらっしゃいましたら、スペースナナにぜひおつなぎください。」

■おわりに

「誰もが安心して暮らし、ゆるやかに支えあえる地域づくり」を地道に、楽しみながら取り組まれている様子が印象的でした。ありがとうございました。これからのご活動も応援しております!

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