横浜市市民協働推進センター

取り組み紹介 「市民公益活動緊急支援 助成団体のいま」~NPO法人海辺つくり研究会さん~

活動中の写真
2022.1.21 市民公益活動緊急支援助成
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■この企画について

市民公益活動緊急支援助成金事務局(横浜市市民協働推進センター)の田中です。
助成を受けた団体さんのその後の取組状況について情報収集していたところ、それぞれの団体さんが創意工夫を重ねながら、取組を継続されていることが分かりました。そこで、市内で奮闘されている方々へヒントになるような、「取組の秘訣」をインタビューしました。ぜひ、ご活動の参考にしていただければと思います。

■NPO法人海辺つくり研究会さん

NPO法人海辺つくり研究会さんは、「海をめぐる環境の変化と、それを引き起こした私たちの活動を深く認識し、昔のような自然や海辺を取り戻し、自然と人との良好な関係を再び作り上げていくことが、21世紀に美しい日本を残していく使命をもった日本人全体の課題の一つである」と考え、活動をされている2002年設立の団体さんです。今回は、代表の古川さん(東京湾再生ハゼ博士)にお話を伺いました。
東京湾再生ハゼ博士のYouTubeチャンネル

ハゼ博士:「私たちは、国内の沿岸域を中心に、1,海の自然に学ぶ、2,先人の知恵に学ぶ、3,多くの市民から新しい知恵を引き出す、4,工学的技術と調和した新たな環境創造技術やその進め方について研究する、などの活動を行い、良好な海辺環境の保全・再生・創出に貢献しています。

力を入れている具体的な活動としては、横浜の海でワカメを育成することで環境教育・学習の場として活用し、“子どもたちの海への関心が高まること”、“ワカメの育成を通じて環境改善の大切さ”、“人と人のつながりの大切さおもしろさ”を知る「夢ワカメワークショップ」、「海のゆりかご」といわれ多くの小魚たちの生活と繁殖の場を保全・再生する「アマモ場再生」、地域に根差した官民連携の持続的な枠組みで実施されている海苔づくりを中心とする「お台場環境教育」、マハゼがたくさんすめるような東京湾の環境について調べる「江戸前ハゼ復活プロジェクト」、市民と研究者が手を組み、人海戦術でその場の生物多様性を捉える「多摩川河口SCOP100」などがあります。」

普段からご活動を、HPでとても丁寧に公開されていますよね。環境保全のために幅広く取り組んでいらっしゃる様子を拝見しています。今日お話をお聞きできるのを心待ちにしていました!よろしくお願いします。

■助成を受けたきっかけ

「海辺活動の再開に向けたIOTツールの活用」事業として、助成を受けられましたよね。どのようなことが助成のきっかけだったのでしょうか?

古川ハゼ博士:「コロナ禍の中、市民と協働して行う事業のほとんどを開催することができなくなっていました。活動の継続性を担保するために、情報を発信し続ける必要を感じていましたが、そのための機材はいずれも高価で、購入費が捻出できないでいました。そんな中、「市民公益活動緊急支援助成金」の存在をWebなどで拝見した会員から応募についての示唆があり、内部で検討し、応募に至りました。」

お仲間の方からの情報提供だったのですね。広報担当としては、必要な方に見つけていただけて嬉しく思います。

■助成事業では

周囲360度全体を撮影することのできる、「360度カメラ」を購入されていましたよね。助成を受けて、具体的にはどのような事業を実施されたのでしょうか?

古川ハゼ博士:「海辺は、人と自然が相互に依存しあい良好な関係を築いてきた場であり、その自然の恵みに触れること、恵みを守り・育てることは、人としての根源的な幸せをもたらし、楽しみとなる場です。本来は、そうした楽しみを実体験していただくことが活動の意義であり中心的取り組みでした。新しい生活様式の確立に向けた中で、こうした海辺の自然体験活動においてもIOTを駆使することで、より気軽に活動に参加いただくことができるのではないかと思い、リアルタイムのオンライン発信、事後の動画配信などを通して新しい参加の形態を作り出す試みを行いました。

具体的には7月から12月まで、以下のような事業を実施しました。購入した360度カメラによって撮影された動画は、再生時に視聴者が自分の好きなアングルで再生することができ、あたかもそこに参加してるかのような臨場感ある動画が作成・配信できました。」

~実施事業をご紹介します~

  • 2020/7/17 竹芝干潟オープニング【取材・撮影】
  • 2020/8/2 三番瀬ミニクリ/三番瀬アサリわくわく調査【撮影・動画作成】
  • 2020/8/8 浦安親子ハゼ釣り教室【事業実施・撮影・動画作成】
  • 2020/10/4 ハマハゼ杯予行【事業実施・撮影・動画作成・アンケート実施】
  • 2020/10/16 東京湾一周ハゼ音頭【事業実施・撮影・動画作成】
  • 2020/11/1 ハマハゼ杯【事前動画作成・事業実施・撮影・動画作成・アンケート実施】
  • 2020/11/1-2 塩釜数珠子釣り取材【撮影・動画作成】
  • 2020/11/7-8 GIJ2020・アマモ交流会【事業実施・撮影・動画作成】
  • 2020/11/24 竹芝干潟芝商干潟部活動支援【事業実施・取材・撮影】
  • 2020/11/28, 11/28, 12/28 夢ワカメワークショップ【事業実施・撮影・動画作成】

特に三番瀬ミニクリは、浦安市のNPOと連携し、撮影・記録を担うことで地域の活動の広報・啓発活動をサポートしました。新しい事業のおかげで他団体と有意義な連携ができたことは、とても嬉しいことでした。また、製作した映像の一部を、みなと博物館での常設展の映像展示で使用するというサプライズがありました。

感染症に負けず、さすがの活動量ですね。屋外の活動ということもあって感染対策はきっとしやすかったでしょうね。

古川ハゼ博士:「屋外の活動ではあるのですが、最初はどれだけ気を付けたらよいか分からず探り探りでした。例えば、水辺で安全に活動するためには、事前にライフジャケットの着かたや、安全についてのレクチャーなどは、参加者に集まっていただいて実施しますので距離をとって行うなどの工夫をしました。万が一の時には救命活動が必要となることも想定されるため、そうした事故が起こらないようにいつも以上に慎重に活動していました。」

夢ワカメワークショップの様子(YouTube)

■2021年度の活動は・・・

古川ハゼ博士:「動画撮影・編集・YouTubeでの公開を、発信手法として標準化し取り組みを継続しています。また、イベントの実施時に事前・事後アンケートを実施してみたことがあるのですが、事業そのものへの高評価が得られた一方で、動画の参照率が低かったことも把握しました。動画作成、掲載が中心でしたが、事前事後の広報・周知が重要であると反省しております。「ここを見れば新しい情報が出ている」と認知してもらうことが大切なので、定常的にHPYouTubeに情報をアップして、これまでつながりのある方々にお知らせすることが有効だと思っています。

これまでも活動の実施を定期的にお知らせする努力はしてきましたが、コロナ禍で対面の情報伝達の機会が限られているので、1年以上連絡を取らないことも起こり得る状況です。そうすると、そうした活動自体が忘れられてしまうかもしれませんよね。皆さんに「あの活動はまだ続いているのだな」と頭の片隅に置いてもらえるよう、「今度機会があったら参加しよう」と希望を託していただけるよう、これまで以上に丁寧にお知らせしていきたいです。

■これまでの取組をふりかえって

最後に、助成が団体全体にもたらした影響や、得た学びがもしあれば教えてください。

古川ハゼ博士:「これまで、参加者と協働で事業を実施して、その場でリアルな体験をしてもらうことを中心に活動してきました。コロナ禍をきっかけに今回の助成を受け、新たな試みにチャレンジしたことで、遠隔地からのオンライン参加や映像として記録に残すことの有用性にも気づきがあり、活動の形態が多様化したように感じています。今後も引き続き実施し、取りためた動画などをイベントの紹介や開催前のレクチャー、振り返りなどに活用していきたいと思います。」

■おわりに

インタビュー中、一つ一つ丁寧に易しく教えてくださる古川さんでした。ありがとうございました!これからのご活動も応援しております!

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