「NPO法人街の家族」 ～まちの大家族のような、多世代交流の場～
こどもの国線「こどもの国駅」の改札を出て数分もすると、鳥のさえずりが聞こえる閑静な住宅街が広がります。ゆっくりと景色を楽しみながら20分ほど歩みを進めると、「NPO法人街の家族」ののぼりが見えてきました。青葉区奈良町にある緑に囲まれた一軒家です。
「NPO法人街の家族」について
街の家族は、空き家になっていた一軒家を活用したコミュニティハウスです。赤ちゃんからお年寄りまで老若男女が集まり大家族のような雰囲気の中、様々なイベントを通して大切な地域の繋がりを深めています。
2021年、横浜市認可外保育施設として一時預かり事業『まんまるーむ』、2024年、地域の小学生の居場所作りの一環としてフリースクール『WA・Lau』をスタートしました。
『どんな時もつながり合える 』をモットーに住民有志で結成された街の家族。「地域の困り事を地域で支え合い、一緒に乗り越えていきたい。」そんな想いで活動しています。
理事長の押久保さんご案内のもと、施設内を見学させていただきました。
「街の家族」の名前のとおり、親戚の家を訪れたような、アットホームな空間が広がります。
玄関を入ってすぐにリビング、その先には子どもたちが安全に楽しめる畳のスペースに続きます。
子どもたちが大好きな絵本やおもちゃを取り揃えています
「「街の家族」に集まる子どもたちは、元気で物怖じしない、そして優しい子が多いんです」と押久保さんがおっしゃいます。
中学生や高校生になっても関係性が続いていて、今度は先生となって子どもたちに勉強を教えに来てくれることもあるとか。
多世代が楽しめるよう、ベビーマッサージ講座、シニアの健康教室など、イベントも多く開催されています。平均75歳で構成される「大人の女子会」では、皆さんが少しおしゃれをして、食事とおしゃべりを楽しまれるそうです。
広報を担当されている、理事の坂田さんにお話しを聞きました。
徒歩や自転車で来られるご近所の方が中心ですが、SNSを活用することで、町田市や川崎市の近郊他市から来られる方も増えてきたそうです。
ネットを活用することで紙のイベントカレンダーの配布終了を検討したそうですが、イベントカレンダーに他の予定を書き込んで手帳代わりに利用している方がいることを聞き、配布を継続することにした、という面白いエピソードも披露いただきました。
12時を回り、隣のキッチンから、とても良い匂いがしてきました。
通常は予約が必要なワンコイン（500円）ランチを特別にご用意いただき、スタッフの皆さんとお話をしながら美味しくいただきました。
今日の献立は、ちらし寿司、煮物、お浸し、お味噌汁、デザート
ご近所農家のご厚意で野菜をいただくことが多く、品数だけを決めて、メニューはいただいた野菜でアレンジされるそうです。
近隣の農家からお裾分けされた新鮮な野菜
『同じ釜の飯を食う』
「街の家族」が行う、食事事業のルーツです。
活動を始めてもうすぐ13年。2020年にはNPO法人化。今年の４月からは、小学生を対象としたフリースクールを開設するなど、新しい取組が始まっています。
人員不足や資金繰りなど、活動の課題も見えてきた、と理事の磯島さん・坂田さんがおっしゃいます。
７月には今の場所から数ブロック離れた一軒家への引っ越しをされ、新たな場所で活動をスタートされています。（※引っ越し前の様子を取材させていただきました）
センターからは、課題の整理の仕方、近隣住民との円滑な交流の進め方をアドバイスさせていただきました。
センター職員の活動アドバイスに耳を傾ける押久保さん（右）と坂田さん（左）
認可外保育施設「まんまるーむ」代表も務める磯島さん（右）と坂田さん（左）
「忙しい。でも、楽しい。」
「新しい体験や出会いがある。」
スタッフの皆さんの原動力は、まさにこの言葉に裏付けされているのではないでしょうか。
大家族のように、「街の家族」に集うみんなに見守られて育った子どもたちが、次の世代の担い手となるー。
そんな優しい循環でつながる、「街の家族」でした。
