
横浜市市民協働推進センター×KIITO「社会課題解決手法を学び実践する!1DAYワークショップ」 開催レポート
2025年12月19日(金)、 横浜市市民協働推進センター×KIITO「社会課題解決手法を学び実践する!1DAYワークショップ」 を開催しました。
今回は、地域・社会課題に取り組んでいる方や市民活動団体、中間支援組織などが、活動への参画者の増やし方や地域の人の巻き込み方という点で共通の悩みを抱えているという現状を踏まえ、企画しました。
そこで、デザイン・クリエイティブセンター神戸(以下、「KIITO*」)センター長である永田宏和さんを講師にお招きし、様々な課題解決の手法や、活動への参画者を増やし魅力的なものにするためのコツを学ぶレクチャーに加え、設定された課題についてグループでアクションプランにまとめていくワークショップを行いました。
*KIITOとは、「+クリエイティブ」をキーワードに、デザインの視点により、さまざまな人々の交流から生まれるアイデアや工夫を採り入れ、身の周りの社会的な問題を解決していくことを実践しているセンターです。
開催概要
【日時】2025年12月19日(金) 10:30~17:00
【場所】横浜市市民協働推進センター スペースAB
【講師】永田 宏和 氏(デザイン・クリエイティブセンター神戸【KIITO】 センター長/NPO法人プラス・アーツ 理事長 ほか)

前半:レクチャー
「地域豊穣化」とそのために必要な2つの「俯瞰」
永田さんは長年、企画やまちづくり支援を通して様々な分野の社会課題解決に取り組まれています。その中で、「今こそ目指すべき地域コミュニティのテーマは『地域豊穣化』である」と言います。「地域活性化」という言葉はよく耳にしますが、高齢者が増え、人口が減っている現在において、地域の人たちがお互い仲良く、生き生き暮らす元気なまちになることを「地域豊穣化」と表現しています。そしてそれを実現するために重要な要素として、「ターゲットの俯瞰」と「タイムラインの俯瞰」の2つの俯瞰があると言います。

一つ目の「ターゲットの俯瞰」とは、地域や周辺にいる様々な関係者(ステークホルダー)の存在に気付くことだそうです。活動やプログラムを作る際に、どうしても設定したターゲットにフォーカスしがちになってしまいます。そうすると、地域にどのような人たちがいるかその存在に気づけず、活動に巻き込むことが難しくなってしまいます。結果的に本当の意味で地域や社会の課題解決につながらなくなってしまうという話がありました。
二つ目は「タイムラインの俯瞰」です。一般的になにか活動(プログラム)を作る時には、そのプログラムを実施することがゴールであると考えられ、単発で終わってしまいがちです。しかし、プログラムの実施はあくまでプロセスの一つであることを前提に、その後の展開や地域への波及効果を意識した活動づくりが必要であるという説明がされました。
地域豊穣化における「風」「水」「土」そして「種」
地域豊穣化には、「風の人」「水の人」「土の人」の存在が不可欠であり、それぞれの「人」には役割があるそうです。
「風の人」:その土地に「種」を運ぶ、刺激を与える存在。
「水の人」:その土地に寄り添い、種に水をやり続ける存在。中間支援的存在。
「土の人」:そこに居続ける存在。しっかり根を張り、活動し続ける存在。
出典:NPO法人プラス・アーツ
超高齢社会、人口減少、コミュニティやつながりの希薄化は、「土」が枯れていることを意味します。土が枯れていては、種を植えても育たず芽も出ません。そこで、「活動の種の品種改良が必要」だと永田さんは言います。そして品種改良できるのは「風の人」であり、運び込まれた新しい種に「水の人」が水をやり続け育てていくとの説明がありました。
「風の人」が運ぶ、いい「種」とは―「不完全プランニング」と「+クリエイティブ」
では「風の人」はどのようにいい「種」を生み出し、地域へ運ぶことができるのでしょうか?
ここでは、「不完全プランニング」と「+クリエイティブ」という2つの考え方をご紹介いただきました。
「不完全プランニング」とは、活動のつくり手がプログラムのすべてをあらかじめ決め過ぎないことを指します。完成されたパッケージに「来ませんか?」「参加しませんか?」という告知を出すと、“お客さん”しか増えません。不完全であることで、他の人たちが関わる余地が生まれ、一緒に活動を作り上げることができます。次第に活動がみんなのものになり、“オーナーシップ”が生まれ、地域に定着しやすくなるという効果があります。
“信じて開く”というマインドを共有いただきました。

また「+クリエイティブ」という手法は、プログラムやイベントを魅力化することを指します。ただ企画を実施するだけでは、関係者や周囲の人たちは面白みを感じることができず離れていってしまいますが、そこに「楽しい、美しい、感動的、非日常、ワクワクする、かっこいい、美味しそう」などの要素を入れることで、プログラムやイベントが魅力的になり、人を惹きつける力になります。
永田さんからは、「クリエイティブとは、新しい何かを創り出すことであり、そこには既存のものをぶち壊すという意味も含まれる。つまり、すべてゼロから新しく何かを創り出すことだけではなく、今ある何かを作り直したり焼き直したりすることも、クリエイティブである」という考えが共有されました。そのためには、根本から考え直し、既成概念にとらわれず、広い視野で、違う角度から、情熱と愛情を持って考えることが大切であるという説明がありました。世の中はアイデアに溢れていると言います。「そんなバカなこと」と言われるアイデアや視点がまさに「クリエイティブ思考(超常識)」に重要なのです。
KIITOの取組
永田さんがセンター長を務めるKIITOは、「みんながクリエイティブになる。そんな時代の中心になる。」をスローガンに活動しています。デザインやアートに加え、既成概念にとらわれないアイデアや工夫を採り入れ、身の回りの社会課題を解決する「+クリエイティブ」という手法をベースに、こどもの教育や高齢社会、防災、まちづくりなどにおいて様々な種(神戸モデル)が生まれ、広がっています。代表的なものとして、「ちびっこうべ」「パンじい」「イザ!カエルキャラバン」などがあります。
詳しくは:KIITOのHP(外部リンク)
後半:社会課題解決の手法を実践するワークショップ
「コミュニティ活動に新しい人を巻き込むには?」
午前のレクチャーと昼休憩を経て、午後は永田さんによるワークショップが行われました。
導入として、適切な課題設定や徹底的なリサーチがされた「+クリエイティブ」な企画などが、本質的で実現性の高い強度をもったアクションプランを生むことにつながるということ、そして謙虚な姿勢と積極的な参加を心掛けてほしいという話を経て、「コミュニティ活動に新しい人を巻き込むには?」というテーマでワークショップが始まりました。
最初に個人でアイデアを考える「モンモンタイム」、次に2~3人で案を出し合い、一押しの案に絞る「ワクワクタイム」、さらに5~6人のグループで議論しアイデアを形にしていく「ムズムズタイム」という順番で、グループごとにアクションプランを作成していきました。





各グループからは、公園を舞台にしたプロジェクトや、いろいろなモノ・コトを交換するカフェ、地域防災拠点の体育館をホテルに見立てた訓練、ごみ拾いフェス、赤ちゃんを中心にしたコミュニティ、空撮で自分たちのまちを見直す活動、空き家を活用したイベントなど、コミュニティ活動に参加していない人たちを巻き込むための様々な「+クリエイティブ」なアイデアが発表されました。その後、それぞれのアクションプランに対し永田さんより講評をいただきました。



最後に永田さんより、「今日のワークショップはどのグループもいい話し合いができていて、盛り上がりもあり、ワイワイ良い雰囲気でできていた。実際に面白いアイデアがたくさん出ていた」との感想がありました。また、社会の中では様々な制約がありますが、まずはみんながワクワクできるアイデアが大事であること、一人では思いつかないアイデアにこそ価値があること、そして今回出てきたアイデアは今日この場が生み出したものであることをお話しいただき、すべてのプログラムが終了しました。

参加者からは、「永田さんのお話は多くの点で納得・共感できることが多かった」「ゼロからではなく焼き直すこともクリエイティブであると言われ、少し肩の荷が下りた」という声や、「イベントのその後の展開をイメージしていきたい」「いろんな人が関われるようにして活動を定着させたい」など、今後の活動や仕事に対する展望も多くあがりました。
おわりに
今回は、「地域豊穣化」のためのポイントや、「不完全プランニング」「+クリエイティブ」など、社会課題解決の手法とともに社会・地域活動への参画者を増やし、魅力的な活動にするために必要な考え方を事例も交えてじっくり学びました。また、学んだことを活かして「コミュニティ活動に新しい人を巻き込むには?」をテーマに、グループでアイデアを形にし、発表も行いました。
「地域でイベントをしているが、参画者がなかなか増えない」「地域に関心のある人を巻き込むためにはどうしたらよいのか」という共通の悩みを抱えている人や組織は少なくありません。今回のレクチャーと実践的なワークショップが、皆さまの今後の活動や仕事のヒントとなり、ワクワク考えるためのエンジンになっていればと思います。
また、今回は市民活動団体のみならず、行政や民間企業など多様な所属の方々に参加いただき、すべての過程を通して組織の枠を超えてアイデアを出し合い、活発に議論する姿が印象的でした。今後も地域に関わる多種多様な方々が、組織や分野を超えて交流したり話し合ったりできる場をつくっていきたいと思います。

今後も皆さまに役立つイベントやセミナーを実施していきます。当センターが主催するセミナーやイベントの情報は、随時HPやSNS、メールマガジンに掲載しております。今後も皆さまのご参加をお待ちしております。
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