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協働プロジェクト

対話&創造ラボ|みらいリンクフォーラム Vol2  Event Report

コロナ時代 まちづくり 不動産開発 小商い 職住近接
2021.04.16
対話&創造ラボ|みらいリンクフォーラム Vol2  Event Report

EVENT REPORT | 八景市場で動き出した協働コミュニティ・地域との関わり

2021年1月29日金曜日に八景市場の中にあるシェアラウンジ・小泉(こずみ)のほとりで開催された「みらいリンクフォーラムVol.2」のイベントレポートをお届けします。

今回のイベントでは「地域住民と協働でつくるコミュニケーションのある暮らしとは」というテーマを中心として地域のつながりや地域の新しい価値を創出している八景市場から広がる活動のお話を伺いました。

登壇してくださったのは、八景市場フードコミュニケーターの平野健太郎さんと
藤原酒谷設計事務所の酒谷枠将さんと藤原真名美さんです。
ファシリテーターは横浜市民協働推進センターの薄井智洋と吉原明香が行いました。

平野さんが運営されている八景市場は住まいをデザインするアパートメントということをコンセプトにして造られています。町の方々とつながり、町の中で暮らしをカスタマイズできるふれあいの場や接点の場という形で運営されています。

藤原酒屋建設事務所は酒屋さんと藤原さんの夫婦で行っていて、新しく設計事務所を立ち上げるタイミングと子育てを始めるタイミングで新しい人との繋がりがあるのではないかと感じ、京都から横浜市金沢区に引っ越されてきました。その後、平野さんや地域の人たちと共に大きなプロジェクトを展開されてきました。

愛ある賃貸を作りたいのさ

初めに平野さんより、八景市場の紹介をしていただきました。

もともと平野さんのお父さんがアパートを経営されていて、
2015年あたりから横浜市の金沢区の人口減少が早い段階から減っていったことをきっかけに単身向けのアパートをリノベーションして生まれ変わらせることを検討し、提供することに加え「プラスアルファ」をやっていかないといけないよねと思いプロジェクトチームを結成します。

そこから出来上がったものが八景市場です。

八景市場のコンセプトには食を通じたコミュニケーションの場というものを掲げており、コミュニケーションのある暮らしというテーマを軸に、昔あったお隣さん同士声をかけあう関係性が賃貸にもあったらいいのではないかと思い進めてきました。

市場とは言ってもアパートメントの形で4つの空間は自由にデザインすることとができるよう考えました。その空間の中で商いができるような仕掛けをつくっているそうです。

他には、地域の人が接続できる場所として地域に開かれた新たなラウンジ「小泉(こずみ)のほとり」設けてあります。本来、賃貸収入を考えたときに住まう場所をつくったら良かったのですが、住まいと人と人との接続を考えられてラウンジをつくられました。


郊外の価値を集める

続いて、昨年の11月7日と8日に行われたENJOY LOCAL八景市場と八景市場ANEEXの2つのプロジェクトについて酒谷さんにお話していただきました。

2年前に関東学院大学の建築環境学部に着任するタイミングで金沢区に引っ越してきて、今まで便利で何か楽しいことがある都心で暮らすことに慣れていたところから郊外での暮らしを始めることになりました。その中でどのようにしたらより暮らしを豊かにすることができるかと考えはじめたそうです。

やはり、初めて金沢文庫駅に降りたときは、郊外ってこんな感じだよな思っていたそう。
けれど、住み始めてみると意外とこの和菓子屋さんがすごく美味しいとかあそこのビールが美味しいと徐々に見つかっていきました。
その分散している価値を一ヶ所に集まってきてもらって同時に開催するイベントがあればすごい大きな価値に変身することができるのではないかと思いました。その内容を平野さんと話をしていき、とんとん拍子で進んでいったことがきっかけでENJOYS LOCALのプロジェクトが始まっていきます。

来場総定数100人だったところが2000人〜3000人の方が来場されました。
今回のイベントはローカルを楽しむということで外向きとに発信するというよりも内向きに発信したかったので、SNSで拡散するというよりも昔ながらの手法を使いながら手書きで書いたチラシを刷り平野さんのお父さんが発信をしていったそう。

そして最初3人で進めていたプロジェクトが最終的には主催者側が増えていき、どこまでが主催者なのかわからないほど広がっていきました。
それはプレゼンテーターと観客というステージに上がった状態で進める一方向の構造だけではなく「みんな一緒にやろう」「主体性を持とうよ」ってやっていくと、今回楽しんでくれた3000人の人が次は自分もやりたいという流れになっていきました。
ENJOY LOCALが終わってから1.2ヶ月の間に今までの繋がりや違うところからこれやってみたいんですけどという企画が入ってくれるようになったそうです。

八景市場ANEEX 〜半世紀を超えて変えていくシンボルに〜

ENJOY LOCALの打ち合わせの時にふと平野さんが別に持っている空き家のがあるということで、これを活用しない手はないとなりすぐに学生シェアハウスにしましょうという話になりました。
八景市場の活動があるところで、単に学生のシェアハウスにすることはつまらないとなり、シェアハウスの共用部分を町の中に開いていきたいと思いから八景市場ANEEXのプロジェクトがENJOY LOCALと同時進行で進められていきます。

ENJOY LOCALの時に沢山の方に来ていただいたので、この場所をどういう形にしていきたいかと地域の方からアイデアを集めながらもこのプロジェクトの存在を知っていただく機会にしていきました。

また、酒谷さんは大学教授の視点から学生がここに住んで町づくりの活動に関わっていくことが実体験の中での学びの場、創造の場になっていて学生の挑戦やチャレンジの機会が町の成長に影響を与えていってほしいと思っています。

平野さんは対流の生ませかたということで、どうしてもコミュニティを作ってしまうと外部の人が入りづらくなってしまいコミュニティを閉ざしてしまうので、オープンにしていくことを意識しています。また、学生が介在し町内会の方から教えてもらいながら一緒にやっていくことで多世代交流の輪を広げることができると考えています。


なんの変哲もない一つ一つの行動

休憩を挟んで参加者の方からの質問に応えていきながら、トークセッションを行ないました。

参加者の方:既存の町内会、周りの高齢者の方との連携をどのように実行されていますか?

酒谷さん: ANEEXなどのプロジェクトを進めていてやるならもうちょっと早く教えてよとお声をかけていただりしていました。
ANEEXをこっちでつくって認めてもらうという上下関係ではなく、一緒に作っていくプロセスを共有することを考えないといけないと思っています。どうしても自分と関係のないものが横にポンとできたら他人事のようになってしまうけれど、一緒に作っていくということで町内会とのパートナーシップをつくることができるそのような関係が大切だと思っています。

参加者の方:「ENJOY LOCALに参加した3000人の人が次は自分もやりたいよと思ったのは何故なのか?何が主体性を作ったのでしょう?」

平野さん: あえて仕掛けを作ったのは屋台のタープ作りでした。
そして出店してくださったり企画をする主催者側がとっても楽しんでいたことが結果的に前のめりでできたと思います。

酒谷さん: 楽しむことの原点は、今までできていなかったものができたことが楽しさであって、今回のプロジェクトを遡ってみると一つ一つの行動がなんの変哲もないことをしていてるんですね。
お昼ご飯食べるついでに平野さんに話しかけたとか、スーパーに行くついでに出店する方のお店に行ってに声をかけてみたとかそれが繋がっていったら3000人の方につながった。
結局は一つ一つのステップが分かったということが多くの方に分かてもらえた。楽しいこともやろうと思ったらやれるんだ気づいていただけたと思っています。

—————————————–

今回のイベントのなかで地域の方の繋がりを広げていくためのヒントや秘訣というものが沢山詰まっているなと感じました。
コロナウイルスの影響で人と人の繋がり方や行動範囲が変わってきている今だからこそ住んでいる地域に目を向けて小さなステップを踏み出すことができるのではと思います。

私も小さな行動を積み重ねて多くの方と関わっていくことや、一方向の関わりではなく共に何かをするというプロセスを大切にしていきたいと思いました。お話を聞いていて八景市場ANEEXが出来上がったら行ってみたいなと思いました。八景市場の広がりがとても楽しみです。

書き手: mass×mass 関内フューチャーセンター インターン 泉川萌恵

 

 


GUEST | Profle

平野 健太郎さん

八景市場/フードコミュニケーター
1977年生まれ。生まれも育ちも横浜市金沢区。学生時代国際ワークキャップというボランティア活動を通じ、地域内外のコミュニケーションを軸に日本全国の色々なまちづくりに関わる。2015年に父の経営するアパートが人口の緩やかな減少に伴い空室率が高くなっていることに対し、個人の力だけでは限界があることを痛感。新しい賃貸住宅のあり方「コミュニケーションのある暮らし」を軸としたアパートメント「八景市場」を2019年に1月からオープン。かつて同じ土地で街の中心として機能した「釜利谷日用品市場」のリデザインに親子2代で挑む。

酒谷 粋将さん

藤原酒谷設計事務所 代表:一級建築士
1988.09 大阪府貝塚市生まれ
2007.03 大阪府立天王寺高校 卒業
2011.03 京都大学工学部建築学科 卒業
2013.03 ​京都大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程 修了
2015.09 京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程 修了
2016.04 日本学術振興会特別研究員PD
2019.04 関東学院大学建築・環境学部 専任講師
2020.04 ​藤原酒谷設計事務所 共同主催

藤原 真名美さん

藤原酒谷設計事務所 代表:一級建築士
1987.12 ​京都府京都市生まれ
2006.03 京都市立西京高校 卒業
2011.03 京都大学工学部建築学科 卒業
2013.03 ​京都大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程 修了
2013.04 maurusfrei partner AG/スイス( – 2014.11)
2015.04 有限会社横内敏人建築設計事務所( – 2020.03)
2020.04 ​藤原酒谷設計事務所 共同主催
2020.04 横浜国立大学大学院Y-GSA 設計助手

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