第1回市民活動基礎セミナー 開催レポート
9月8日(金)、「市民活動基礎セミナー~市民活動団体に必要な経営の視点~」をスペースABとオンライン(zoom)のハイブリッドで開催しました。台風の影響で急遽開催方法が変更になりましたが、会場参加者もおり、オンライン参加者とともに「経営の視点」について考えを深めました。
「市民活動基礎セミナー」は、全3回で構成されています。
社会課題の解決に向けて立ち上がった団体も、十分な準備をしないまま法人化すると活動の継続も難しくなってしまいます。立ち上げ当初の思いを社会によりよい形で広めるためにも、市民活動団体の現状と課題に合わせて、団体の基盤を整えることを目指す「基礎」を学ぶ内容で、今年度から企画されたものです。
これまでNPOにとってあまり馴染みはなかったが必要な視点である「組織マネジメント(経営)」、さらに活動を進める上で押さえたい「会計」「広報(PR)戦略」の基礎を、講師からのお話とグループワークを通して学ぶ内容となっています。
第1回目の講師を務めてくださったのは、楯晃次さん。NGOなどの国際団体から一般企業まで、幅広い組織を専門家として経営の視点で見つめ、調査・研究をされています。
市民団体は小さな規模で始まることが多いですが、徐々に大きくなるにつれて活動・資金・組織面などを改めて考えなければならない壁が立ちはだかります。楯さんは、その時に経営やマネジメントの視点があれば乗り越えられることが多いと説明します。
導入では、企業の経営(市場メカニズム)と市民活動団体(NPO)の“サービス”や“顧客”の考え方の違いを整理しながら、市民活動団体の特徴を確認しました。
ワークでは、「今感じている課題」を書き出したり、自分たちの活動が「誰に」「どのような価値を」「どのように提供し」「なぜ持続するか」を書き出したり、「ありたい姿」と「現状」を比較し、そのギャップをどうしたら埋められるか考えてみたり…。参加者それぞれが考えを深めていきました。
さらに、自分たちが提供する価値とは?その手段とは?そして、そのための収益モデルとは?ということも突き詰めて考える時間がありました。整理をして自分たちの中ではっきりさせておくことで、何か課題に直面しても、ブレないで活動を続けることができます。
参加者の中からは「このワークを通して今のやり方に矛盾があることがわかりました」といった声や「まったくワークが書けなかったです」という声など、それぞれの立場によってさまざまな反応がありました。
大学でも「経営」という大きなテーマを細かく分け、さらにそのテーマについて1年間かけて学ぶ授業があるくらいなのに、それをたった数時間で理解するのは困難です。ですが、活動に熱中していると経営の視点を持つことすら思いつかないこともあります。経営・マネジメントの視点をもって、団体を組織として改めて捉えると、内部の課題が明らかになり、それが活動の幅を広げたり継続につながります。今回のセミナーが、そうした「経営の視点への一歩」となりましたら幸いです。
次回、第2回目の基礎セミナーは10月12日(木)「会計」をテーマに開催します。横浜市市民協働推進センターからのお知らせをご確認ください。