第3回市民活動基礎セミナー 開催レポート
11月13日(月)、「市民活動基礎セミナー~市民活動団体のPR戦略の立て方~」をスペースABで開催しました。
市民活動基礎セミナーについて
社会課題の解決に向けて立ち上がった団体も、十分な準備をしないまま法人化すると活動の継続も難しくなってしまいます。立ち上げ当初の思いを社会によりよい形で広めるためにも、市民活動団体の現状と課題に合わせて、団体の基盤を整えることを目指す「基礎」を学ぶ内容で、今年度から企画されたものです。
これまでNPOにとってあまり馴染みはなかったが必要な視点である「組織マネジメント(経営)」、さらに活動を進める上で押さえたい「会計」「広報(PR)戦略」の基礎を、講師からのお話とグループワークを通して学ぶ内容となっています。
第3回目のテーマは「PR戦略」で、日野信輔さん(株式会社Nextwel代表取締役)が講師を務めてくださいました。日野さんは「誰もが才能を発揮できる社会に」というビジョンのもと、企業とともに障がい者就労に取り組んでおり、ITを活用した就労機会の創出をなさっています。自身も組織として社会に向けた発信を行いながら事業展開している実践者として、お話ししていただきました。
よく耳にする今回のテーマの「PR」という言葉。そもそも、何の略かご存じでしたか…?
「パブリック・リレーションズ(Public Relations)」の略で、「組織とその組織をとりまく個人や集団との、望ましい関係を創り出すための、考え方および行動のあり方」という説明がありました。つまり「PRすること」を通して、私たちは周囲(社会)との信頼関係を築いているといえます。
しかし発信する先を取り巻く状況は、日々変化し続けています。社会のうごきに合わせて、発信ツールも次々と新しいものが誕生し、私たちがふだん目にしたり活用する媒体も変わってきています。そのような中で、自分たちは「誰」に「何」を伝えたいのか…?「Why(なぜ)、 How(どのように)、What(何を)」にしっかりと落とし込んで、さらには「具体的にどのような人に伝えたいのか」を明確にすることが、世の中に発信する上で重要であることが、日野さんから話されました。
このような話を踏まえて、各参加者それぞれが考えを落とし込む作業―「コンセプト設計」の個人ワークの時間も合間に設けられており、じっくりと考える皆さんの表情がとても印象的でした。
後半は、Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)、X(エックス)など現在主流の広報ツールについて、一つひとつ具体的な説明がありました。それぞれの特徴とともに、そのツールが持つ力を発揮させるためにも適切な発信頻度が大事であることや、タグ等も積極的に活用することなど、実用面での具体的な活用方法もていねいに説明いただきました。
今や個人の発信でさえも世界で「バズる」時代。ですが、全世界に届く必要はありますか…?
市民活動でまず大切なのは「地域に愛される」ことだという日野さんの言葉は、市民活動をされている多くの人が納得する言葉なのではないでしょうか。冒頭にもあったように、広報(PR)は周囲とのコミュニケーションです。市民活動団体の活動は、誰かの「思い」から始まり、成り立っているかと思います。今回の基礎セミナーが「この人の思いをもっと知りたい」「この活動を応援したい」「この活動が取り組んでいる社会背景を知りたい」という「ファン」を増やしていくための、それぞれの工夫につながりましたら幸いです。
横浜市市民協働推進センターも、日々試行錯誤しながらPRに取り組んでいます。メールマガジン・ホームページ・SNS(Facebook、X、Instagram)で活動報告や事業のお知らせ、皆さまに活用いただける情報等を発信していますので、皆さまとぜひつながりながら、協働の輪を広げていければと思います。