第4回市民協働相談会 開催レポート
12月21日(木)、第4回市民協働相談会「地域の“緑”を育む活動のこれまでとこれから」を開催しました。
開催概要
【日 時】2023年12月21日(木)18:00~19:45【テーマ】地域の“緑”を育む活動のこれまでとこれから
【場 所】横浜市役所1階 スペースAB
【協働コーディネーター】
吉武美保子氏(NPO法人新治里山「わ」を広げる会)【ゲスト】
松村正治氏(NPO法人よこはま里山研究所(NORA))
中川隆義氏(横浜をつなげる30人/チームままmaioka)
第1回~第3回の様子はこちらから。
【開催レポート】第1回市民協働相談会 ~地域でつくる子どもたちの居場所~
【開催レポート】第2回市民協働相談会 ~今の時代の地域コミュニティ~
【開催レポート】第3回市民協働相談会 ~私たちが「防災」から学ぶことーいつかのためにいつもやることー~
第4回のテーマは、地域の“緑”です。街を見渡せば、公園や街路樹、里山などいつもの風景に何気なくある“緑”。実は、市民活動団体や市民ボランティア、行政など色々な人たちが関わっています。“緑”を地域の“宝”として活動をするゲストや参加者が集い交流しました。
横浜市は「まとまりのある緑」を概ね5年ごとに調査しており、最新データは令和元年度の数字になりますが、27.8%という緑被率※です。昭和57年の40.3%から年々下がり続けています。
一方で横浜市は昭和46年から「市民の森制度」をスタートしており、山林所有者や市民ボランティアの協力のもと“市民の憩いの場”としての緑地の管理運営を進めてきました。令和5年4月1日現在、47か所が「市民の森」に指定されています。
そうした横浜の“緑”の現状がある中で、協働コーディネーターの吉武美保子さん(NPO法人新治里山「わ」を広げる会)から“緑”(里山)を守り育てる市民活動が市内に100団体以上あることが説明されました。都市近郊部の“里山のかけら”を、次世代にどうつないでいくか―?という問題提起のもと、ゲストのお話が続きます。
なぜ、地域の“緑”にはいろいろな人や団体が関わるのでしょうか。本来地権者が管理することが原則のところ、コストや高齢化などの面で管理ができない状況が生まれます。適切に管理されないと、治安悪化や災害時のリスクの上昇など、複数の問題が発生すると、松村正治さん(NPO法人よこはま里山研究所(NORA))は説明します。高度経済成長期以前から今に至る時代背景とともに緑の「管理の仕組み化」―市民や行政が協働で取組むこと―が必要になってきた経緯が話されました。また、次世代へつなぐには「非日常」的なボランティア体験希望者へのアプローチや、SDGsの観点から“緑”のあり方を再考し、関わる人や団体の裾野を広げるといった時代に合わせたアプローチが必要であることが、他自治体の例とともに話されました。
次世代へつないでいくことは、“緑”に限らず市民活動全般が抱える課題でもあります。中川隆義さん(横浜をつなげる30人/チームままmaioka)が所属する「チーム“ままmaioka”」は、まさに次世代へのつなぎ役として「(横浜の)都市自然を次世代につなぐ」をスローガンに活動しており、舞岡公園や新治里山公園で地域の人たちとともに対話型のワークショップを重ね、緑に関わる人たちのネットワークづくりを進めています。また、ワークショップで出た意見を「未来宣言」としてまとめ、具体的なアクションプランに落とし込み、次世代へバトンをつなぐための道筋づくりに取組んでいる実践例が説明されました。
後半はグループに分かれて感想や自身の取組みについて、抱えているモヤモヤなども含めてシェアしました。その後の全体でのシェアでは「人間の根本として、自然は大事だよねという話になりました」「緑の消費者としてではなく主体的に関わることが大事」「緑と関わることは特別なことではない」など、各グループで出た意見が共有されました。“緑”といっても街の花壇の管理や里山保全など様々な活動分野がある中で、共通する「大切なこと」について参加者同士で意見交換されたようでした。
今回は横浜(地域)の“緑”を切り口に、緑と市民との関わりがこれまでどうだったのか、そして次の担い手などを含めたこれからのあり方などが話されましたが、「管理」するばかりではなく「自然に委ねる」気持ちも大切というお話がありました。「非日常」ではなく、生活の中に日常的にある“緑”を大切にする気持ちを自然に持つこと―。これからを担う子どもたちに、“緑”もそうですが、町にある“宝”に気付き育む気持ちを継承することが、持続可能な街につながるということが、改めて浮かび上がる相談会となりました。
今年度、4回にわたり開催した市民協働相談会。参加者同士がつながり、新たな「協働のタネ」も生まれつつあります。また、横浜市市民協働推進センターも新しいつながりや発見があり、次につなげていきたい取組みとなりました。引き続き、協働コーディネーターや参加者とともに創り上げる場を目指して開催していきます。